実は南野にとって今回が初めての海外旅行であり
しかも飛行機に乗ること自体が初めてなのである。
少し緊張しながら飛行機が離陸するのを待っていると
滑走路へ向かう為に誘導路を走り始めた。
ゲートを離れる時に航空会社か空港のスタッフと思われる
航空会社の職員達と思われる人が手を振っているのが見えた。
「これが今生の別れだったりして・・・ アハハ」
等と冗談にもつかないことを思いながら滑走路へと向かい・・・
自動車のソレとさほど変わらない加速Gを感じながら
JAL741便はマニラにあるニノイアキノ国際空港に向けて離陸していった。
「結構、急角度で上昇していくんだなぁ・・・ あ、あそこが自宅周辺だ」
なんてことを考えながら窓の外を眺め、ふと前のシートにある
モニターに目を移すと、飛行ルートが表示されているのが見えた。
「あれ? すぐに南西へ向かって飛ぶのかと思っていたら・・・
一回紀伊半島の方に向かってから南下するんだ・・・」
そんなことを考えながら、目を閉じてシートの背凭れに身体を預ける。
前の座席のシートに付いているモニターでは映画なんかも上映するようだが
興味のある映画ではないのであまり見る気もしない。
これからのフィリピン滞在への期待と不安が交錯する感覚を楽しみながら
少しだけ仮眠を取ることにした。
「しかし、エコノミーのシートってのは、座り心地が悪いねぇ・・・」
そんなことを考えていると、加藤が南野の肩をチョンチョンと小突いた。
「ん? どうしたの?」
「あのさ、トイレに行きたいんだけど・・・」
「分かった」
そう言って立ち上がり、客室乗務員を呼んで離陸の時に動いてしまわないように
固定された車椅子を出してもらう。
機内最後尾のトイレでは狭いと言うことなので
機内中央付近にあるトイレへと移動する。
「失礼します。Excuse me」
と通路脇に座っている乗客に声をかけながら狭い通路を移動し
加藤が用を済ませている間の時間を利用して、客室乗務員からアイス烏龍茶と
フィリピンの入国カードを受け取ることにした。
トイレに移動するまでの苦労をもう一度味わいながら席へと戻り
入国カードを記入し始め、加藤はブリッジスの書いているカードを
ほぼ丸写しにしていたが
「ところでマニラの宿泊先のホテルの名前は?」
「アロハホテルってホテルだよ」
「で、それってどこにあるの?」
「さぁ・・・」
「さぁ・・・ って・・・ わからないの?」
呆れた表情をしながら、とりあえず記入欄でわかるところだけを埋めた。
入国カードを書き終えると・・・ 窓の外には真っ青な空、真っ白な雲・・・
そして海の色がだんだんと澄んだブルーに変わっている。
もうフィリピン上空であると思わせるような風景が眼下に広がっている。
機内アナウンスではもうすぐ着陸態勢に入るので
シートの位置を元に戻し、テーブルを仕舞ってから
シートベルトを着用するようにとの指示を出している。
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