翌朝は午前５時半に目が覚め
サイドテーブルの上においてあったリモコンでテレビをつけ
面白そうな番組を探している。
冷蔵庫に移動してドアを開けると
メイが持ち込んで入れてある
ソフトドリンクやミネラルウォーターの中から
スプライトを選んでベッドではなくソファーに移動する。
暫くの間、ぼんやりとしながらTVを眺め
テーブルの上にあったスナック菓子の
「チッピー」をつまみながら時折
スプライトを口に運んでいる。
「折角フィリピンに来たんだからねぇ・・・」
そう思い、スプライトの缶をとチッピーの空き袋を
ゴミ箱に放り込んでから立ち上がって部屋を出て行く。
ホテルのエントランスから外に出てみると
小学生の時、早起きをしてラジオ体操に向かう時と
同じような、爽やかな夏の空気に包まれているのを感じる。
ホテルの周囲を反時計回りで回ろうと
左手に向かって歩き始めると
何かいい匂いが漂って来たのを感じる。
「Ｋｕｙａ（お兄さん） サンパギータはいかが？」
ふと、目を声の主の方に移動させると
６歳ぐらいの男の子と４歳ぐらいの女の子が
小さい白い花を持っているのが目に入った。
その子達が着ているのは黒ずんでヨレヨレになっている
Ｔシャツに半ズボン、そして素足に今にも履けなくなってしまいそうな
サンダルを履いていたのだが
「Ｓｏｒｉ ｎａ．Ｂｕｄｄｉｓｔ ａｋｏ ｋａｓｉ Ｈｉｎｄｉ ｋａｉｌａｇａｎ ｋｏ ｉｔｏ」
（ごめんね。僕は仏教徒だからこれは必要ないんだよ）
サンパギータはフィリピンの国花であるのと同時に
神様に捧げる花でもあるということを聞いていたので
そう言いながら拙いタガログ語で断った。
しかし、サンパギータの花の香りを嗅がせてくれた
この２人の子供になんかしてあげられないかと思いながら
ズボンのポケットに手を突っ込んでみると
散歩中に口の中に入れて楽しもうと思った
ストロベリー味のキャンディが入っていたので
それを２つ取り出し、１つずつ、男の子と女の子にあげた。
「Ｍａｒａｍｉｎｇ ｓａｌａｍａｔ！！」（どうもありがとう！！）
男の子と女の子は大喜びをしながら
南野が歩いていこうと思っている方向と
反対の方向に走って行った。
「そう言えば一昨日・・・」
南野はマクドナルドで見た光景を思い出した。
マクドナルドの店内で加藤、メイにメアリーと
食事をしていた時に
先程の男の子と女の子と同じような格好をした
２人の兄弟らしき同年代の子供が
恨めしそうに店のガラス越しにへばりつくように
店内を眺めている光景や
車で移動をしている時
渋滞にハマった車のガラスを叩きながら
物乞いをして回る子供達や大人の
身体障害者のことを思い出した。
「これがフィリピンの現実・・・」
フィリピンでも子供達が働かされていたり
マクドナルドや路上での光景を目にしたことで
散歩をしている間、常にそのことを
考えながら歩くことになってしまった。
ロハス大通りを渡ってグリーンベルトを抜けると
そこにはマニラ湾が目に飛び込んで来る。
自分の家の近くにある東京湾を眺められるスポットと
そんなに変わらない景色を見ながら
用意をしていたペットボトルに入っている
ミネラルウォーターを飲んでいる。
「フィリピンと言えどもマニラ湾だと
絵葉書にあるようなキレイな海の景色は期待出来ないなぁ
東京湾と沖縄の海を比べるようなものかもしれない」
そんなことを考えながら暫くボ～っとしていると
グリーンベルト内の少し離れた場所にテントのようなものを
張っている場所が見え、そこでは焚き火をしながら
朝食の準備をしている光景が目に入る。
（今ではベイウォークとして整備されているのでこのような光景ではない）
「ここに長居をしていたらヤバいかな？」
と思いながら平静を装ってグリーンベルトを後にする。
「そろそろ行ってみるかな？」
と思い、ホテルにある美容院へと向かって歩くことにした。
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【タガログ語向上委員会２ ＴＯＰ】
