「Marunong ka ba Bilyar?(ビリヤードは出来るかい?)」
メイの兄弟の中で一番ガタイのいい
2番目の兄のロナウドが声をかけてくる。
「9 ball lang(ナインボールだけだよ)」
「Ganoon? (そうなの?)」
と南野がビリヤードを知っていることに喜んだロナウドは
南野をゲームに誘いながら「マイ・キュー」が入ったケースを
見せびらかすようにテーブルの上に乗せた。
「Huwag na bet. OK ka ba?(賭けるのは止めよう。 いいかい?)」
と言う予防線を張ることにする。
ロナウドが上級者であれば、5年ほどビリヤードのブランクがある
南野は必ず負けてしまう。
「OK」と笑いながら同意したロナウドは、自分のグラスに入っている
サンミゲル・ビールを飲み干した。
食事を終え、3300ha.あると言う広大なリゾートの敷地内を走る
ジプニーの乗り場まで移動する。
暫くすると誰も乗っていないジプニーがやって来て
南野達をピックアップしてから出発する。
1980年度のフィリピンオープンの会場となった
ゴルフコースがうっすらと見え
昼間から天気が良くなかった空からは
雨が降り出した。
ボーリング場とビリヤードが出来る建物に入ると
ロナウドは意気揚々とキューケースから
キューを取り出している。
メイ、メアリー、加藤にマイカ達が
ボーリングが出来る場所に移動して行くのが見えた。
「Sige.Magsimula tayo ha (さぁ、始めようぜ)」
そう言いながら三角形の木枠の中に
9つのボールを順序良く並べ始めたロナウドに
ブレイクショットの権利を譲って
南野は暫く傍観することにしていたのだが・・・
南野の順番は想像以上に早くやって来た。
ブレイクショットで6番のボールをポケットに沈めた後
1番ボールをポケットに沈めることが出来なかったのである。
ハウス・キューにチョークをつけていた南野が
ショットの体制に入った・・・
ロナウドは腕組みをしながら、その様子を眺めている。
1番ボールを右サイドのポケットに難なく沈めた南野が
視線をロナウドに向けると、彼はムスっとした表情で
睨み付けている。
最初のゲームは南野のミスショットでショットの権利を得た
ロナウドがナインボールを右奥にあるコーナーポケットに
運良く沈めることが出来たことによってロナウドが勝ったが
2ゲーム目は7番ボールからナインボールまでを
立て続けにポケットに沈めた南野がゲームを制すと
「ねぇ。私にもやらせてよ」
ボーリングをしていたマイカがハウス・キューを持って
南野達がいるプールにやって来た。
「どうぞ」
南野は壁際にある椅子に座ってから
用意してあった7Upの缶のプルタブを引いて
一気に中身を飲み干す。
マルボロを口に咥えてからライターの火を移して
窓の外を見ると、先ほど降りだした雨が
本降りになっていることに気がついた。
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