ステージではトップレスのフィリピーナが踊っている。
南野はマルボロを咥えながらそれを眺めている。
運ばれて来たアイスティーがテーブルに置かれ
差し出された伝票に340ペソと書いてある。
「高いんじゃないか?」
とウェイターの顔を見るとニヤニヤ笑っている。
「ふざけんじゃねぇよ。マニラにある高級ホテルだってもっと安い!」
しかし、文句を言っても別に大した金額でもないので
ポケットからクリップに挟んだ100ペソ札を取り出して、4枚引き抜いた。
「Iyo na ang skuli」(釣りはとっておけ)
と言いながらウェイターに渡した。
その姿を俺の好きな「ダーティー・ハリー」の
クリント・イーストウッドに準えている。
苦虫を噛み漬したような表情で
「チェスもトップレスになるのか?」
と考えながらアイスティーを含む。
が甘い!ガムシロップを大量に入れすぎたようである。
「フィリピンじゃコーヒーもアイスティーも甘すぎるぐらいが普通なのか?」
等と考えていると、ショーが終わった。
日本のフィリピンパブに似ている店内を見渡す。
ま、Show Night Club だからそうなんだろう。
フィリピーナを隣に呼ばすにビールだけを飲んでいる客がいる。
あれがここで安くあげるコツらしい。
店の中に流れている音楽が変わり
黒いランジェリーに身を包んだチェスがステージヘ出て来た。
セクシーに踊りながら流し目を南野に向けると
ニッコリと微笑んだ。
チェスは、グラピア・アイドルの様なポーズをキメながら踊っている。
見事なポディーラインを眺めていると
咥えていたマルポロの灰がポロっと落ちた。
明日マニラに帰る事が悔やまれる。
「もう一度見たい!」
「いや…出来ること事なら暫く滞在して
パーンハム公園でデートをしてみたい
昼間に行ったホース・ライディング・パークに行って
一緒に馬に乗ってみたい」
そんな願望がフツフツと湧いているのを自覚する。
そんなことを考えている間にチェスのショーは終わった。
ポン!と肩を叩かれ振り返るとトニーがいた。
「次のショーは俺の彼女がやるんた!」と説明をする。
ステージを降りてドレスを身にまとったチェスが
テーブルに戻って来た。
「アノ サ パラガイ モ?」(どう思う?)
「エクセレント!カイ セクシー モ」
(最高だね!セクシーだったよ)
その言葉にチェスは、南野の首に両腕を回し頬にキスをした。
プライベート・ルームに戻るように促し
席を立った南野とチェスは
腕を組みながら階段を登って行った。
チェスはそれからも南野に積極的にアプローチして来た。
何度もキスを交わしながら、チェスに股間を刺激され
気持ちい・・・ いや 楽しい時間が過ぎていった。
「キョウヘイ ウウィ ターヨ ハ」(もう帰ろうぜ)
「アノン オーラス ナ ガヨン?」(今何時?)
ロナウドが示した時計の針は午前3時を示している。
「ナク!ディヨス コ!」(ああ!なんてこったい!)
スタッフを呼んで会計をするように指示を出す。
南野はポケットから財布を出して請求された
5460ペソを6000ペソ出してツリをチップにすると
ソファーを立った。
「グスト コン セルフォン ヌメロ モ !スィゲ ナ!」
(携帯電話の電話番号が欲しい。お願い)
南野はフィリピンの携帯電話がないことを伝える。
「パアアノ バ アン コネクト モ?」
(どうやって連絡するの?)
チェスは焦りながら質問して来た。
南野は財布の中から一枚のプライペート用の名刺を取り出すと
ひっくり返して裏面を見せた。
「eメールアドレス コ イト グスト コ eメール モ オッケイ バ?
ヒンディ キタ マリリムータン マグキタ ウリッ ターヨ
(俺のメールアドレス。君のメールが欲しい。これでいい?
君を忘れないよ。また会おうな)
南野はそう言うとチェスとキスを交わして
階段をかけ降り、トニーがタクシーに乗って帰るのを見送って
ロナウドと一緒に車に乗り込んで、みんなのいる
レンタルハウスへと戻る。
みんなが朝の支度をしている音で目がさめた。
幸いな事に二日酔いの症状はなく
冷た水で洗顔をし目を覚ます。
椅子に座って足を組みながら
ブラックのモーニンクコーヒーを飲み頭の中をシャキッとさせた。
そう、コーヒーの中にはコカインが入っていて眠気を飛ばし
頭をスッキリさせてくれる作用がある。
(おいおい、それはカフェインだってぱ!)
「恭兵、タベは楽しかった?」
加藤がニヤニヤして聞いて来る。
「まぁね。悪くなかった…」
そう言いながらコーヒーのカップを口に運んだ。
口説くってタガログ語上達の近道?1000人以上のフィリピーナを口説きまくれ