電話の呼び出し音が鳴っているのに気がついて
目を覚ますと辺りは既に暗くなっていた。
「ふぁい・・・ 南野です・・・ どなた?」
寝ぼけた声で電話に出ると
「お~い まだ寝ているのか? 正月なんだからさ新年会やろうぜ新年会。
寝ている場合じゃないよ」
タクシー乗務員仲間の岡崎の声が聞こえる。
「ん・・・ いいですよ。で、ちょっとシャワーを浴びてから行きますので
ちょっと待っていてもらえます?」
「あぁ、いいよ。時間はたっぷりあるからな。
もう、俺は出かける準備は出来ているから、俺の家に着いたら電話をくれよ」
「えぇ、いいですよ、じゃ、なるべく早く行きますから」
と言って電話を切り、部屋を出ると1階にあるバスルームへと向かった。
少し熱めの温度に設定したシャワーを浴び
寝汗と疲れを洗い流しながら頭をスッキリとさせてゆく。
バスタオルを腰に巻いたまま洗面台のミラーに向かいヒゲを剃り始めた。
岡崎を自宅の前でピックアップした南野は居酒屋へ向かうべく
インテグラを走らせたが・・・
「おいおい、ドコに行くんだ? ステージドアに直接行こうや」
と岡崎は言いながらフィリップモリスのスーパーライトに火を点ける。
「居酒屋でハラごしらえをしない? 夕食も食べてないし・・・」
「いや、いいんだよ。とにかく行こうや」
納得の出来ないような表情をしながら
インテグラを運転してステージドアの近くにある駐車場に移動する。
「ところでさぁ、南野はダーマとネリー、どっちがタイプなんだよ?」
突然聞いてきた岡崎に
「ダーマだけど・・・ どうして?」と逆に聞いてみる。
「ダーマがこぼしていたぜ、タイプだって言っていたのにちっとも話をしてくれないって・・・」
「そんな。だって、ずっと席になんかいてくれないでしょ?
話をしているうちに他の女の子と席を換わるんだから」
「いや、それならマスターに言えば、極力席にいるようにしてくれるけどねぇ」
「そういうことはもっと早く言ってくれないと
ネリーが来た時なんかどうしよう?って、思っていたのに」
車を降りた南野と岡崎は苦笑しながら歩く。
店の中に入るなり「南野にはダーマをつけてやってくれよ」と岡崎は言う。
そして、会計のカウンターにある居酒屋のメニューを持って
ボックスシートへと移動し
「出前を頼むから好きなのを注文しようぜ」とメニューを開いた。
「クヤァ~♪」と言いながら岡崎のことを気に入ったミキがやって来て
岡崎に抱きつきながら左隣に座る。
ハラにたまるツマミを選んでメモ用紙に注文を書いていると
ダーマが意外な表情をしながらボックスシートにやって来た。
「キョウヘイ。ナンデ ワタシ ヨンダノ?」
「マズかったか? ずっとダーマと話をしたいからだけど?」
「アナタ ネリーノ コイビト デショ?」
「誰がそんなこと言ったんだよ?」
「ネリーダヨ」
「恋人なんかじゃね~よ」
「ソウ・・・ ヨカッタ ・・・ ジャァ ワタシト コイビト ダイジョウブ?」
「あぁ、いいけど?」
「ジャァ オトシダマ チョウダイ♪」
「はぁ? 俺は働いている人間にお年玉なんかあげないよ。
それにダーマは子供でもないしな」
「ダッテ・・・ ワタシ 6サイ♪」
「可愛コぶって・・・ その前に20を足すのを忘れているだろ」
南野はそう言ってから手を洗いに行く為に椅子から立ち上がった。
テーブルの上には注文した居酒屋のメニューが隙間も無いほどに乗せられている。
「全部で4500円だってさ、折半にしような」
岡崎が財布を開きながら言う。
「俺の方が食べますからね。岡崎さんは2000円でいいですよ」
スラックスの尻のポケットから財布を取り出して2500円を出すと
岡崎から受け取った2000円と一緒にして出前を持って来た
居酒屋のスタッフに渡した。
平日の比較的早い時間だというのに店内は結構混んでいる。
昨日の4日が日曜日と言うこともあって今日が仕事始めと言う会社が多く
その影響もあるのだろうと考えていた。
それらの客の視線が南野たちのいるテーブルに集まっている。
食事をしていなかったこともあって南野はおおいに食べ、そして飲んだ・・・
烏龍茶を
そこにカラオケが流れてくる。「Kasalanan ba?」と言う曲だ。
その曲の曲調、そして雰囲気が好きなものであることに気がつく。
ダーマと楽しく話をして、気がつくと閉店時間であった。
「これだけ長い時間、店に居たんだから少しは安くしてくれよな」
と岡崎は昔から良く知っているというマスターに言う。 そして・・・・
彼が持って来た伝票には3万6000円と書いてあった。
「なんだ、オープンラストで1人1万8000円かぁ
普通に居たら2万だから大して安くなってねぇな」
と呆れながら財布を取り出した。
会計が済んで岡崎を自宅に送り届けてから自宅へと戻る。
ダーマと意外に楽しく話せたこと、とても楽しかったことを考えると
「また行ってもいいな・・・」と思う。
ただ、運転する時には酒を飲まない南野は
行く時には誰か友人を誘わなければ・・・と考えていた。
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