出発の前夜、南野恭兵はイライラしながら
自宅で友人の加藤滋雄からの連絡を待っていた。
「時間が早いから、僕の家に泊まってから一緒に行こうよ」
と言うことになっていたので、加藤が自宅に来るのを待っていたのである。
午後10時になっても電話が来ず、南野が何回か電話をかけても
「もう少し待っていてね」と言うだけであった。
イライラしていた南野は、午前1時になった時点で
自宅を出て歩いて行けるコンビニエンスストアに行き
弁当やおにぎりを買って来て、マンガを読みながら
それらを食べて時間を潰している。
加藤からの連絡を寝ずに待っていた
南野のところに電話があったのは午前6時30分であった。
「今、ナッシュの自宅の前だよ」
とのんきな声で報告する加藤の電話を切り
自宅を飛び出した南野は
「電話をくれって言ったのに、なんで電話をしないんだよ
こっちは寝ずに待っていたのに」
と詰め寄る。
「ゴメン、ゴメン、寝ちゃってさぁ・・・」
とあまり悪びれた様子もない加藤に
「そんだけマイペースで行くつもりなら、1人で行って来い!」
と怒鳴りつけたかったが、その言葉をガマンして飲み込み
「これからどうなるのだろうか?」
とうんざりしながら加藤の車に乗り込んでドアを閉める。
のほほんと呑気まるで国内旅行に行く気分の加藤とは対象的に
まるでニューヨークのダウンタウンとかコロンビア等へ行くような
警戒感いっぱいの南野を乗せたトヨタのスプリンターは
東関東自動車道路を成田空港に向けて走っている。
たとえイライラしていたとしても、そして加藤のお供と言えども
初めてのフィリピン旅行である。
成田空港に近づくにつれて期待感が高まってきた。
2週間で8000円の民間駐車場にスプリンターを突っ込む。
駐車場の従業員がやって来て預ける前に車の状態をチェックしながら
駐車場利用の説明を始めた。
「あ! こういうことをしなくちゃいけないから早く来るべきだったんだね」
加藤は今更ながら驚いたような顔をして言う。
「それに、出発時間の2時間前には空港に行って
チェックインの手続をしなきゃいけないしな」
少しイヤミっぽく言い放った南野と加藤
そして成田空港第2旅客ターミナルビルへと運転する駐車場の
スタッフを乗せたスプリンターはゆっくりと走り出した。
成田空港第2旅客ターミナルビルの中に入っていくと
そこには恐らく関東甲信越、そして東北のエリアにある
フィリピンパブでタレント活動をしていたと思われる
フィリピーナ達が、カートに大きな荷物を載せながら
大勢移動しているのが見えた。
そのカートの上にはフィリピンへの土産の定番とされている
日清食品のシーフードヌードルの箱が2箱、3箱と載せられている。
「へぇ、やっぱりそうなんだねぇ・・・」
等と感心しながらチェックインカウンターに移動して手続をしていると
「搭乗時間近くになったら、もう一度このカウンターに来てください」
と言う空港職員からの指示があり、一旦、上のフロアに移動して売店を眺め
喫茶店で加藤と一緒にコーヒーを飲みながら
時間が過ぎるのを待つことにしたのである。
約束の時間になってチェックインカウンターに移動すると
そこに女性の空港職員が待っていた。
「ご案内いたします。こちらへどうぞ」
と女性職員は加藤の車椅子を押しながら出国審査のカウンターへと移動していく。
「あんなに並んでいる行列に並ぶのか・・・」
と少しげんなりしながら出入国カードに記入を終えると・・・
「ではこちらへどうぞ」
と客室乗務員やパイロット達が手続をする専用のカウンターへと案内をされた。
「へぇ、これはいいなぁ・・・」
と思いながらパスポートコントロールを受けて税関へと移動する。
何回も金属探知機のゲートに引っかかり
土産として用意した100円ライターも没収されて税関を通過し
JAL741便の出発する13番ゲートへと移動することになった。
「羽田もそうだけど、空港ってのはやたら歩くんだよねぇ・・・」
うんざりしながらゲートへ移動し、喫煙が出来るブースへと移動すると
出発時間までチェーンスモークをしながら体内ニコチンを補充していく。
車椅子の乗客は一番先に飛行機に乗り
マニラに到着した時には一番最後に降ろすことになると説明を受けた。
搭乗時間前にボーイング747型機へ案内をされながら入って行くと
患者搬送の時に入った国内線の飛行機とそんなに大差がないことを
感じながら最後尾にある座席へと案内をされた。
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