「シャンプー・ヘアーブロー・・・ マッサージ プリーズ」
美容院に入って顔見知りになったスタッフに声をかけると
椅子に座るように促され、滞在3日目にして既に
習慣のようになっている朝のシャンプーとヘアブローに・・・
マッサージを受ける。
40分後に350ペソの料金と150ペソのチップとなるように
500ペソ札をスタッフに渡して美容院を出る。
「前はマッサージは受けたいとは思わなかったんだけどなぁ・・・
とうとうオジサンになっちゃったのかなぁ・・・」
少し複雑な心境になりながらマグノリアのいる
レストランに入って行くと
空腹感もあることからすぐにモーニングビッフェを
注文しようと思ったのだが・・・
上司と思われるフィリピーノから
叱責されているマグノリアの姿が目に入った。
「おいおい、客の目の前で従業員を叱責するのか?」
そう思いながら空いているテーブルに視線を移動させる。
原因が彼女にあるにしろ客が入って来た時に
そのような姿を見せるべきではない
とその上司らしき男に意見してやろうと思ったが
椅子に座った南野が眉を顰めながら
睨み付けるようにしていると
それに気がついた上司のフィリピーノは
そそくさと、厨房の方へ行ってしまった。
「Ano ho ang order kayo?(何になさいますか?)」
マグノリアはメニューを携えながら
南野のテーブルにやって来る。
彼女はまだ少し涙ぐんでいる。
「Ikaw(あなた)」
な~んてジョークを飛ばす雰囲気ではないので(笑
「モーニングビッフェ、エッグは・・・ スクランブル」
と言って椅子から立ち上がり
いつものように自分が好きな料理を
プレートの上に乗せながら
アメリカン・ブレックファーストのような
朝食を完成させた。
食後、マンゴージュースを飲みながら
日本語と英語で書かれている
「マニラ新聞」を広げながらくつろいでいる。
「こんな日常だったらいいのになぁ・・・
後は、マグノリアみたいなフィリピーナが
自分のアサワ(妻)だったら言うことないね」
等と考えながらマルボロを3本灰にしてから
テーブル・チェックをすることにして
マグノリアをテーブルに呼んだ。
細長いバインダーに挟まれている伝票の金額を
チェックしてから、財布の中から250ペソを取り出し
「Iyo na ang skuli. Mag sumikap ka」
(お釣りはあなたにね。頑張って)
と言いながらバインダーを渡すと・・・
マグノリアは満面の笑みでバインダーを受け取り
「Maraming salamat po!」(どうもありがとうございます)
と言いながらレストランを出て行く南野を見送ってくれた。