つまらない時間を過ごしたカラオケボックスを出ると
メイが途中で合流したマイカを自宅に送り届けると言い
カローラをロハス大通りに合流させる。
「Nasaan ba nakatila?」(家はドコなの?)
南野は隣に座っているマイカに尋ねてみる。
「TONDOよ」
マイカはさらっと答えたが、南野は少し驚いている。
「この時間からトンドに行くのかよ?!」
心の中ではそう思ったが
「Ah… ganoon」(へぇ・・・ そうなんだ)
と、お手軽に感想を言うのに留めておいた。
トンドはアジア最大のスラム街としてその名を馳せていた
悪名高い廃棄物の山、スモーキーマウンテンの名前ぐらいは
南野もTVなどのドキュメンタリーを観ていたので知っている。
もちろん、日本人観光客が物見遊山の目的で
足を踏み入れる地域ではないことも知っているし
フィリピンの観光ガイドブックでも、そのことを警告している。
フィリピンから帰国した後で知ったことであるが
「マニラに住んでいるフィリピン人や
タクシーの運転手ですら行きたがらない地域である」
と言うことを知った。
「キョウヘイ マイカ マジメヨ。 サッキノ オンナ バカ ネ」
運転をしているメイはさっきのKTVで南野が指名した
フィリピーナと自分の友人であるマイカを比較させるような
話題を振ってきた。
「だから、別に他の女なんか呼ばなくていいって言ったのに・・・」
「マイカ マイニチ キョウカイ(教会)ニ イク ヨ スゴイ マジメデショ?」
「そうだね、女の子はマジメがいいよね」
南野はマルボロを咥えてライターで火をつける。
「他のフィリピーナよりも私が紹介する女の子がいい子なのよ」
なんて言うことをメイは南野に強調したかったのではないだろうか
と推察しているうちに・・・
カローラはロハス大通りからDel Pan通りを分けている
ロハス・ブリッジを渡ると、左側にある
サンミゲルのガラス・プラントの影が
目の中に飛び込んで来たのだが
同時になんとも表現しがたい強烈な刺激臭が車内に充満した。
カーエアコンでは外気を取り込むように設定をしておらず
しかも、窓は全部閉めているのにも関わらずである。
鼻を押さえながらふと窓の外を見てみると
ヒドイ刺激臭があり、近くに港や工場がある為に
排気ガスの制御装置が機能していないような
大型トラックが頻繁に行き来する
とてつもない環境でありながら
トタン板などを使った掘っ立て小屋が並んでいて
人が住んでいることに驚く
「こんなところに人が住んでいるのか・・・
しかし、フィリピンじゃ環境のことなんか考えないんだな
明日の生活にも不安があるんだから
環境のことなんか考える余裕なんかないんだな」
そんなことを考えているうちに線路を渡った先の右側に
団地のようなものがあるのが見えると
メイは右折の合図をする為にウインカーのレバーを操作した。
「Good night」(おやすみなさい)
マイカはそう言ってからカローラを降りて自宅の方へ歩いて行き
カローラを方向転換させたメイは、ホテルに戻る為に
ロハス大通りの方へカローラのノーズを向けて
アクセルを踏み込んだ。
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